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ビターメロン(BITTER MELON)

 
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Family (科名)ウリ科
Genus(属名) Momordica
Spieces(種名) charantia

使用部位

全草、実、種

伝統的利用法

葉又は全草煎剤1回1カップを1日1~2回。
4:1チンキを1回1~3ミリリットルを1日2回。
葉粉末カプセル又はタブレットを1日1~2グラム。
南米の伝統的ハーブ療法では、糖尿病の治療に実1~2個分のフレッシュジュース1日2回。

薬との相互作用

ビターメロンはインスリンや糖尿病治療薬、コレステロールを低下させる薬と相互作用する可能性があります。

一般名

bitter melon, papailla, melao de sao caetano, bittergourd, balsam apple, balsam pear, karela, k'u kua kurela, kor-kuey, ku gua, pava-aki, salsamino, sorci, sorossi, sorossie, sorossies, pare, peria laut, peria

異名

Momordica chinensis, M. elegans, M. indica, M. operculata, M. sinensis, Sicyos fauriei

ビターメロンは

アマゾン、東アフリカ、アジア、カリブ諸島を含む熱帯に自生していて、南米では野菜や薬草として栽培されています。葉柄の長い葉と黄色い雄花・雌花をつける一年草の蔓植物で、イボイボが沢山ついた楕円形の実は、小さなキュウリのようです。エメラルドグリーンの実は時間の経過と共に黄・オレンジへと変色し、熟すると外皮が弾け後ろへと反り返り、中に入った赤茶又は白の種を撒き散らします。ビターメロンのラテン名"Momordica means"は『噛む』という意味ですが、名前の由来はあたかも噛み切られたようにギザギザした葉にあります。実、種を含めビターメロンのすべての部位に苦味があります。

民間伝承的利用法

アマゾンではビターメロンを庭先で栽培し、野菜や薬草として利用しています。ビターメロンの葉や実は、スープや豆料理に使い、苦味や酸味を加えます。軽く塩水で湯通し、苦味を調整してから料理に使う場合もあります。一方、先住民による薬用利用例としては、リーフティーが糖尿病、腸内ガス排出、生理促進として、また抗ウィルス特性を生かし感染症による高熱、肝炎、はしかに用いられています。傷等の外傷には局所的に用い、寄生虫の虫下しとしての利用されています。
ブラジルのハーブ医療でのビターメロンの適応例としては、腫瘍、傷、リューマチ、マラリア、膣の出血、炎症全般、生理全般、糖尿病、せん痛、熱、寄生虫があります。膣炎、痔、疥癬、痒みを伴う発疹、湿疹、ハンセン病等皮膚病では局所的に用いられ、堕胎薬や媚薬としての利用も記録されています。メキシコでは、ビターメロンの全部位が赤痢、糖尿病に利用され、根は媚薬として高く評価されています。ペルーでは、根を除くすべての部位又は葉が、はしか、マラリア、炎症全般に用いられています。ニカラグアでは、葉が主に胃痛、糖尿病、発熱、風邪、咳、頭痛、マラリア、皮膚病全般、生理不順、うずき・痛み全般、高血圧、感染症全般、出産補助に利用されています。

活性成分

ビターメロンには、トリテルペン、プロテイン、ステロイドを含む活性成分が含有されていることが多くの研究活動により確認されています。グアニル酸環化酵素は、乾癬の発生原因と関連があると考えられていて、白血病や癌細胞の増殖に必要な酵素の一つですが、ビターメロンの含有成分が、グアニル酸環化酵素を抑制する働きを示すことが確認されています。ビターメロンに含まれるプロテインの一種である『モルモジン』は、ホジキン病リンパ腫に対し抗癌作用を示すことが、動物実験で実証されています。ビターメロン含有プロテインである、『アルファ・モモルカリン』、『ベータ・モモルカリン』、『ククルビタシンB』は、抗癌作用の可能性が示されています。これらビターメロン含有のプロテインからケミカル合成薬『MAP-30』が開発され、特許が取得されています。開発者によると『MAP-30』は前立腺癌の成長を抑制する可能性があると報告しています。また、『アルファ・モモルカリン』又は『ベータ・モモルカリン』を施した細胞実験で、健全な細胞に影響を与えることなく、HIV感染細胞からほぼ完全にウィルス抗原が消失する結果が得られています。これは、『アルファ・モモルカリン』と『ベータ・モモルカリン』は、試験管レベルですが、HIVウィルスの抑制する可能性を示唆するものです。『MAP-30』の開発者は、別の特許で、「HIV感染症や腫瘍の治療に有効がある」と記しています。『MAP-30』はヘルペスウィルスに対しても有効であることが試験管レベルで確認されています。
ビターメロン全部位に含まれる少なくとも3つの異なったグループ成分要素が、血糖低下作用をもたらすことが多くの研究で実証されています。これら血糖を下げる3つの植物科学成分は、『シャランティン』として知られるステロイド性サポニンの混合物、インスリン様ペプチド、アルカロイドです。特にビターメロンの実にはこの3つの成分がが多く構成されているので、著しい血糖低下作用が見られます。
これまでに発見されたビターメロン含有成分としては、アルカロイド、シャランティン、シャリン、クリプトクサンティン、ククルビティン、ククルビタシン、ククルビタン、シクロアルテノール、ジオスゲニン、エラエオステアリック酸、エリスロディオル、ガラクトゥロニック等があります。

生理作用に関するリサーチ

これまでに100近い生体実験において、ビターメロンの実が持つ血糖低下作用について実証されてきています。ビターメロンの実は、細胞がブドウ糖を吸い上げる能力を強化し、インスリンの放出を促進し、インスリンの効力を増強する作用を示すことが生体レベルで実証されています。ビターメロンの実又は種がトータルコレステロールを減少することを示す実験もでています。ある研究では、ビターメロンを用いた10週間の治療の後、コレステロールとトリグリセリドレベルを正常値に戻す結果を報告しています。
ビターメロン全草が持つ抗癌作用については複数の生体実験で実証されています。ある研究では、ビターメロン全草浸剤がラットの前立腺癌成長をブロックすることをリポートし、ビターメロン全草の煎剤がマウスの乳癌の成長を阻害することを発見した研究もあります。試験管レベルですが、多くの研究において、肝臓癌、白血病、黒色腫、充実性肉腫を含む様々な細胞における抗癌作用・抗白血病作用が実証されています。
エプステインバーウィルス、HIVウィルス、ヘルペスウィルスを含むビターメロンの抗ウィルス特性については、ビターメロンに含有される成分と同様に、多くの実験において試験管レベルで確認されています。ビターメロンの葉から抽出したエキスが、インターフェロンの生産を助長し、ナチュラルキラー細胞を増殖させて、人間や動物のウィルス感染に対する抵抗力を高め、免疫力を高める作用があることを生体レベルで実証した実験があります。
更に、ビターメロンの葉から抽出したエキスは、幅広い抗菌作用を持つことが実証されています。大腸菌、ブドウ状球菌、シュードモナス菌、サルモネラ菌、連鎖球菌に対し複数の種類のビターメロン葉抽出エキスが抗菌作用を示すことが試験管レベルで実証されています。ビターメロン全草がアメーバに対し抗菌作用を示すことも実証されています。ビターメロンの実と実から作ったジュースが同じ種類の抗バクテリア作用を示し、別の研究では、ビターメロンの実のエキスが胃潰瘍の原因であるピロリ菌の活動に対抗する作用を示しています。
ビターメロンの毒性については、すべての部位においてそれを経口摂取する場合、比較的低い毒性を示すことが多くの研究で実証されています。一方、エキスを注射する場合、動物実験で死亡例が報告されています。ビターメロンの実と葉のエキスを妊娠中に経口摂取する場合の安全性について示す実験もありますが、一方、ビターメロンの種は流産を促すことをラットやマウス実験で確認した例もあります。ビターメロンの根は子宮を刺激するとの動物実験があります。ビターメロンの種と葉は、妊娠しずらくなることがメス動物実験の結果生体レベルで確認されています。また、精子の生産量が減少する結果を示す動物実験が行われています。

使用法

ビターメロン(葉・茎)

調製 :葉浸剤、カプセル
作用 :抗癌、抗ウィルス、抗バクテリア、消化促進、血糖低下
適応 癌
ウィルス感染(HIV、エプスタインバーウィルス、肝炎、インフルエンザ、はしか
バクテリア感染(ブドウ状球菌、連鎖球菌、サルモネラ菌)
消化促進(消化不良、消化停滞)
糖尿病
科学的手法により検証された適応 抗バクテリア、抗癌、受精阻止、抗白血病、抗原虫、抗腫瘍、抗ウィルス、血糖低下、免疫活性
民間伝承的適応 抗真菌、抗炎症、抗マラリア、駆虫、殺菌、苦味、腸内ガス排出、解熱、血圧低下、催乳、生理活性、下剤、外傷
注意 血糖が低下する作用があるので注意が必要です。

ビターメロン(実・種)

調製 :フルーツジュース
作用 :血糖低下、コレステロール低下、抗バクテリア、腸内ガス排出、苦味
適応 糖尿病
高コレステロール、高トリグリセリド
ピロリ潰瘍
消化促進、腸内ガス、消化不良、胃痛、消化停滞
虫下し
科学的手法により検証された適応 堕胎、避妊、抗菌、コレステロール低下、血糖低下
民間伝承的適応 抗真菌、駆虫、抗蛇毒素、苦味、心臓強壮(リズム、バランス、強さ)、消化強壮、催吐、生理機能活性、下剤(強力に弛緩します)、虫下し
注意 血糖が低下します。堕胎、避妊作用があります。


多くの研究活動により、ビターメロンの民間伝承的適応の多くについて科学的手法により裏づけがとられ、ハーブ医療の中で貴重な自然療法素材として位置づけが与えられています。欧米では、ビターメロンのカプセルやチンキがより一般的となりつつあり、糖尿病、ウィルス感染、風邪、流感、癌、腫瘍、高コレステロール、乾癬の治療にビターメロンを利用するプラクティショナーの数も増えてきています。実や種の濃縮ジュース、全草パウダー・エキスなどは、カプセルやチンキの形状で入手することができます。

【出典】

Powerful and Unusual Herbs from the Amazon and China, The World Preservation Society, Inc. 1993,1995
HERBS OF THE AMAZON Traditional and Common Uses, Dr. Donna Schwontkowski, Science Student BrainTrust Publishing, 1993 Powerful and Unusual Herbs
Traditional Uses of Rainforest Botanicals, John Easterling
A MODERN HERBAL, Mrs. M. Grieve, Dover Publications, 1971
The New Holistic Herbal, David Hoffman, Element, Inc. 1991

 

注 : 当ウェブサイトに含まれている情報は、啓発的或いは教育的なところを目的として紹介しているものであり、病状の診断、療法の処方、病気の治療など適切な医療行為の代替としての使用を意図するものではありません。

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