エスピンヘイラ・サンタ

エスピンヘイラ・サンタとは...
エスピンヘイラ・サンタは、高さ5m程度の常緑の小型潅木で、モチノキに似た葉と実を付けます。南米やブラジル南部に自生していて、市街地などでも街の景観を整えるために利用されていたりします。南米や西インド諸島一帯の熱帯あるいは温暖な気候の地域には、エスピンヘラ・サンタの属するMytenus属の植物が200種類以上分布していますが、アマゾン原産のMaytenus属の種類も多く、チュチュワシも含めて、先住民の人々により薬用として用いられています(1)。
エスピンヘイラ・サンタの抗癌特性
エスピンヘイラ・サンタは抗癌特性を持っていることから、アマゾン地方よりもむしろ都市部のハーブ医療において古くからその利用法などについて記録されています。エスピンヘイラ・サンタは、数多くの臨床研究で取り上げられてきた数少ない南米熱帯雨林産の薬用植物の一つで、潰瘍や癌の治療においてその有効性が確認されたことにより1960年代中頃から一層研究熱が高まりました(2)(3)。
初期の研究では、エスピンヘイラ・サンタを始めとする複数のMaytenus属植物に、少量の服用でも強力な抗腫瘍作用や抗白血病性を示す抗生物質が含まれていることが確認されています(4)-(8)。
MaytansineとMayteineの2種類については、1970年代から米国や南米において、癌患者に投与するなどの臨床における利用が行われています(9)-(13)。これらの試みではMaytansineが卵巣癌腫といくつかのリンパ球において著しい症候の緩解をもたらしたことが確認されていますが(11)、使用された投薬量で見られた毒性が原因となり、その後の研究が行われることはありませんでした(14)。
一方、Mayteine複合体に関するリサーチがいくつか行われていますが、その毒性は全く確認されていないか、ほどんど確認されていません(6)(9)(10)。また、エスピンヘイラ・サンタの皮膚癌に対する伝統的或いは民間伝承的な利用法の有効性について確認している研究もあり(3)(15)、南米においては、Mayteine複合体の癌治療への利用について研究が今尚続けられています。今日の伝統医療では、エスピンヘイラ・サンタの葉が利用されていて、皮膚癌の治療では軟膏として利用していたり、煎じ汁で癌の洗浄をしたりしています(16)。
エスピンヘイラ・サンタと胃腸
エスピンヘイラ・サンタは、今日の伝統医療においても様々な癌治療に用いられている一方で、潰瘍や消化不良、慢性胃炎等に対しても積極的に利用されていて、これらの用途に関しては1930年代から記録が残されています(17)。ブラジルの伝統医療ではエスピンヘイラ・サンタは、鎮痛薬、消毒・殺菌薬、強壮剤、傷薬や胃炎や潰瘍、その他胃の不調に用いる薬草として評価されています(18)。過去10年程度に渡りこれらの用途について西洋医学でも評価されていて、その強力な坑潰瘍特性については1991年の研究で、エスピンヘイラ・サンタの葉から抽出したエキス(お湯)が、RanitidineやCimetidineといった抗潰瘍剤と同様に効果的であること、そして胃酸の分泌量が増加しpHの上昇を引き起こしたことが実証されています(19)。1991年には毒性に関する研究が発表されていますが、それによるとエスピンヘラ・サンタは安全であり、副作用がないことが確認されています(20)。